安全運行のため、さまざまな職種が協働している航空業界。ときに、その協働は文化の異なる海外の企業や人とも。「相手の文化などを尊重しながら、自分の意見はしっかり伝える」という、多様な異文化体験を通じた桃大での学びが日々の安全運行に繋がっていることは、私の誇りです。
幼い頃から興味があった客室乗務職という仕事。本気で目指そうと思ったのは、2年生になる直前でした。英語特待生留学というプログラムでオーストラリアへ行ったとき「もっと多くの国の人たちと交流したい」と強く感じたことがきっかけです。桃山エアラインスクールを受講したり、アメリカでのインターンシップへ参加したりと夢に向けて走りはじめた頃、いまの私にとって誰よりも憧れの存在である、当時日本航空のチーフキャビンアテンダント兼人事担当を務めていらっしゃった大久保さんに出会いました。キャリア教育科目の授業で、桃大の卒業生として講演に来られていた大久保さん。その姿にオーラを感じて「こんな女性になりたい」と憧れの存在になりました。
日本航空の企業説明会や面接試験では、大久保さんが採用担当として参加されていて、お見かけするたび元気が出たことを覚えています。最終面接まで進むことができ、ドキドキしながら電話を待っていたある日のこと。かかってきた電話に応答すると、なんと大久保さんの声! 憧れの人から合格を通知していただき、さらに直接「おめでとう」という言葉をいただき、信じられないくらいうれしかったです。出会ったときは、まさか同じ会社で働けることになるとは想像もしませんでした。就職活動中は不安になることもありましたが、私の天職だと信じ、つねに前を向いていました。これから客室乗務員として歩んでいく中で、私も大久保さんのように、みんなに夢を与えられる人になりたいです。
「アメリカの大学へ英語を学びにいくんじゃなく、専門科目の講義を受けにきた」。長期派遣留学はまさにそんな毎日でした。心理学や社会学など、英語で行われる授業を現地の学生たちと同じように受講。毎日出される課題もみんなと同じ。テーマにそってディベートすることも多く、最初はついていくのが大変でした。でも高いレベルの経験を積んだから帰国後にTOEIC®900点を取得。思えばその出発点は、1年次のカナダ留学で「自分の思いを英語で伝える」ということからでした。
「門限ハ5時ネ」。カナダのホストマザーにそう言われたものの、仲良くなり始めた外国人の友達ともっと多くの時間を過ごしたい。その私の気持ちをホストマザーに伝えたい。言いたい思いを全部辞書で調べ、懸命に彼女に伝えた結果、説得に成功。英語を使うってこういうことなんだ。そんな貴重な経験の数々が今の私をつくっています。卒業後は夢だった旅行会社へ。その前に米国留学で親しくなった様々な国の友達を訪ねて、ヨーロッパ中を旅してきます。
桃大在学中は、英語の教員を目指し教職課程を履修しながら「英語の教え方」を学びました。なかでも、ゼミで学んだ「英語教育学」は現在、中学校で英語科目を担当するうえでとても役に立っています。ゼミでは、「確かめたい能力を測るためには、どのような問題をテストで出すべきか」について研究をしていました。テストにはたくさんの目的があり、その方法も多様にあることを学んだほか、英語の教授法や英語の歴史など「英語の先生に必要な能力を身につける」ための授業を積極的に受講していました。
その他にも、留学生が生活するマンションで暮らしながら彼らの生活をサポートする、レジデント・アシスタント制度を利用するなど、語学力だけでなく異文化理解の面でも学びの多い4年間でした。そんな桃大での学びや経験は、中学校で子どもたちに英語の豊かさや面白さ、そして学ぶ楽しさを伝える教員としてのベースになっています。
私は現在、国立アイスランド大学で日本語教員として勤務しています。桃大在学中に日本語教員を志した私は、日本語教育に関する研修プログラムに参加したり、外国人留学生とも積極的に交流したりと、経験できるチャンスを最大限に活用しました。高校生の頃からアイスランドの伝統文化や言語に興味があり、暮らすなら絶対ここだと決めていたので、桃大を卒業後は国立アイスランド大学で3年間アイスランド語を勉強。その後、同大学の非常勤講師になることができました。現在は人文学部の日本語学科で、主に文法に重点を置いた科目を担当しています。私は「言語」に興味があるので、自分の母語である日本語を研究して教える毎日は、本当に楽しいです。日本語に興味を持つアイスランドの学生に日本語を教え、自分も学び続けられるこの仕事は天職で、一生続けていきたいと考えています。
アイスランド語は文字も発音も日本語と全く異なり、何世紀も前から現代まで、発音以外のことにほとんど変化がないなど興味が尽きません。一方で、アイスランドの人にとっての日本語は、学んでも話す機会がほとんどないのが残念なところ。この状況を改善することは私の課題でもあります。日本を離れて時間が経つにつれて、私は「日本人としてのアイデンティティ」を考えるようになりました。日本に帰国せず外国で生きていく私は、いったいナニジンなのか、そしてどんな人でありたいのか。簡単に答えは出ませんが、模索し続けています。
僕は、小さい頃からの憧れだった「空港で働く」という夢を実現し、グランドスタッフとして内定をいただくことができました。それを叶えてくれたのが、「桃山エアラインスクール」。外部のスクールと提携し、航空業界に関するプロの先生が指導してくださるという桃大生専用のプログラムです。専門知識やマナーに関する授業、面接などの試験対策など、航空業界に必要なスキルだけでなく、いち社会人としての素養も高められました。人気の高い航空業界を目指す道のりは、常にプレッシャーとの戦い。そんな僕を支えてくれたのは、エアラインスクールの先生と仲間たち。親身にアドバイスをくださる先生方、同じ夢を目指す仲間たちと過ごすうちに「本気で挑めばきっと大丈夫」と希望が生まれました。
航空業界は、企業説明会でも面接でも参加者の9割以上が女子学生。正直、戸惑いはありましたが、むしろ男性であることを生かせばアピールできるとポジティブに考えました。体力面などのアピールや、男性ならではの視点で意見を述べたことが良かったと思います。グランドスタッフは、空港に到着したお客様を最初にお迎えする役割であり、一方で旅が終わって空港を出ていくお客様をお見送りする立場でもあります。旅の始まりと終わりに関わるとても重要な仕事で、そこに大きなやりがいがあると感じています。すべてのお客様に心地よい旅をお楽しみいただくために、誇りを持って働いていきたいと思います。